水に関わる紛争・問題
過去から現代に至るまで、人は水の問題に悩み、時に水の利用をかけて争ってきた。現代では食料需要の増加に伴う農業用水の増加や、バイオ燃料用作物の需要による農業用水の増加など新たな水の問題が発生している。また、水問題を抱える国では、それを解決するために国家を挙げた取り組みをしている。
水資源をめぐる争い
競争相手を意味する「RIVAL」の語源が、川を意味する「RIVER」であるといわれているように、人は遥か昔から川の水をめぐって争いを続けてきたが、現代でも国際河川をめぐった紛争が世界中で起こっている。国際河川をめぐる争いを発生させる原因はいくつかあるが、一番基本的な原因は国際河川の水の利用に関する権利をどちらが持つか、水をどのように分配するかという問題である。また、国際河川が陸地に対して半分近くの面積を占めていることから、国同士の領土問題の的になっているというのも原因である。
争いの火種が絶えない国際河川のなかでも、ナイル川流域が一番危険で厳しい問題を抱えているとされている。ナイル川の下流にあるエジプトと上流にあるタンザニアなどの国との間には、川の水利用に関する争いがある。また、スーダンなどの国では国内でもナイル川の水資源をめぐって部族同士が争いを起こしている。
パレスチナとイスラエル
イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの間にはヨルダン川が流れているが、その周辺国は水を十分に使うことができず、深刻な水不足に悩まされている。しかしそんな水が不足している国々の中にあっても、イスラエルとパレスチナの間では水資源の大きな格差がある。パレスチナ人が年間に使える水の量は約66tであり、イスラエルの9分の1ほどしかない。なぜ、このような格差が生まれたかというと、1967年の第三次中東戦争でイスラエルがヨルダン川の水利権をほぼ独占してしまったからである。このように水不足もまた戦争の一因になることがある。
チグリス・ユーフラテス川は世界でも最大級の国際河川であり、トルコ、シリア、イラクなどの国々を支える希少な水資源となっている。現代でこそ、この地域は少ない水資源を巡って争っているが、遥か昔のメソポタミア文明の時代では豊かな水資源を有する地域であったとされる。
中国と韓国
中国では3割を超える河川が全く使用することが出来ないほどの酷い水質汚染の状態にある。また、中国では降水量が少なく、地下水を過剰に汲み取ったために地下水に海水が混ざって使えなくなっていることもあり、660ある都市のほとんどが水不足の問題を抱えている現状である。中国の汚水処理率は全体の6割程度しかなく、工業用水や家庭・施設から出る汚水は川に垂れ流しである。そんな状態であるから、飲み水は勿論、工業用水や農業用水に使う水すら不足している。また、降水量の低下による干ばつで地下水の過剰利用が進行したために、地盤沈下などの影響が起こっている。
韓国では、降水量の低下などが原因で多くの村で給水が制限されるなど、韓国でも水不足の問題が深刻化している。韓国ではこれから更に水が不足していくことを予測して、国を挙げて水問題に取り組むことを表明した。また、現状を打破しようと地方自治体も独自に対策を始めている。
バイオ燃料
アメリカやヨーロッパでは、使用している水全体の4割近くをバイオ燃料製造を含むエネルギー開発に使用している。そして、アメリカではこれから更にバイオ燃料用作物の需要が増し栽培を拡大していくことから、多くの州で農業用水が不足すると予想される。バイオ燃料用作物の栽培は、作物の種類と栽培する場所によって必要とする水の量が変わるため、場合によっては多量の水を必要とする場合がある。また、バイオ燃料用作物の栽培が拡大することにより、農薬などの地下水への影響が大きくなると心配されている。
台湾は全体の降水量こそ多いが、降雨の8割が5月から10月までに降ってしまい、あとは乾燥期が続くなど、一年を通して安定した水資源を得ることができない気候にある。加えて、河川の勾配が急なので降雨がすぐに海に流れてしまうことから、多くの水資源を得ることができず水不足に陥っている。